先日、支援先企業の社長と責任者の皆さんとのミーティングに参加しました。
最近、この会社のミーティングで感じる変化があります。
責任者の皆さんから、自分の担当業務をどうするかだけではなく、「会社としてこれから何をすべきか」という発言が増えてきたことです。
今回のミーティングでも、今後の収益につながり、新たな事業の柱になる可能性のある複数の案件について、責任者から話が出てきました。
業界内での会社の認知度も高まっているようで、大手企業などから声がかかる案件も増えつつあります。
案件の詳しい内容を書くことはできませんが、今回の話し合いには、この会社が変わりつつあることを感じる場面がいくつもありました。
お客様や市場の変化から、次の事業を考える
今回話し合われたテーマの一つが、お客様や市場で起きている変化を捉え、そこから新しい事業の可能性を考えていくことでした。
お客様が困っていることや、これまでのやり方では対応しにくくなっていることの中には、新しい案件につながる可能性があります。
ただ、ニーズがあるだけでは事業にはなりません。
どのような方法であれば自社として対応できるのか。
お客様にとって利用しやすい形にするには、どのような工夫が必要なのか。
採算を確保しながら継続できる事業にするには、何が必要なのか。
責任者から出てきた話をもとに、社長も交えて具体的な方法について議論しました。
目の前の仕事だけではなく、これから会社の収益を支えるものをどうつくっていくのか。
そうした視点からの発言が、責任者から増えてきています。
個人の知識を、会社の強みに変える
もう一つ議論したのが、社内に蓄積されている知識です。
この業界では、お客様から相談を受け、その用途や条件に応じて適切な材料を組み合わせて提案できるようになるまで、長い経験が必要だといわれています。
一方で、豊富な知識や経験を持つ人材の高齢化が進んでいます。
これまで個人が長年の経験の中で身につけてきた知識を、どのように会社の知識として残し、次の世代へ伝えていくのか。
今後、非常に重要なテーマになります。
個人の頭の中にある経験やノウハウを整理し、必要な人が活用できるようになれば、若い社員の成長を早めることにつながります。
また、担当者が不在でもお客様からの問い合わせに対応しやすくなり、会社全体としてのお客様への対応力を高めることもできます。
個人が持っている知識を、どうすれば会社全体の強みに変えられるのか。
こうした視点からも、具体化に向けた検討を始めています。
何気ない会話から、大きな案件が生まれた
今回、特に印象に残った話がありました。
ある責任者は、部下との面談の時間を週に2日設け、お客様への対応の中で気になっていることなどを聞く時間を増やしています。
その中で、部下が何気なく話したお客様とのやり取りがありました。
本人は、それほど重要なこととは考えていなかったようです。
しかし、その話を聞いた責任者は、
「それは、もう少し掘り下げたほうがいいのではないか」
と感じました。
そこから話を進めた結果、大口の受注につながりました。
本人にとっては何気ない話でも、経験のある人が聞けば、その中に案件の可能性を見つけることがあります。
最近、この部門では、上司と部下の間で仕事についての会話や雑談も増えているそうです。
こうした「場」が、新しい案件の芽を見つけるきっかけになります。
案件の芽を、偶然で終わらせない
新しい案件は、最初から「新規案件」という分かりやすい形で現れるとは限りません。
お客様からの何気ない一言。
いつもとは少し違う問い合わせ。
営業担当者が感じた小さな違和感。
雑談の中で出てきた話。
こうした小さな変化の中に、案件の芽が隠れていることがあります。
大切なのは、それを見過ごさないことです。
そして、気づいた人だけの情報で終わらせず、会社の中で共有し、次の行動につなげていくことです。
対話の中で、それぞれが持っている経験や感覚を共有する。そこから得られた気づきを言葉にし、サンプルや提案書など具体的な形にして、さらに会社の中で共有していく。
こうしたことを繰り返すことで、個人の気づきや経験が会社の知識となり、新しい商品やサービス、新しい案件を生み出す力につながっていきます。
野中郁次郎教授の知識創造理論でも、人と人との経験の共有から始まり、それを言葉や具体的な形にして組織の中で共有していくプロセスが、新しい知識を生み出すうえで重要だとされています。
今回のミーティングでは、新しい案件を継続的に生み出すためには、お客様とのやり取りの中で生まれた小さな変化や気づきを会社として拾い上げ、共有し、具体化していく仕組みが必要であるという認識を、社長、責任者の皆さんと共有しました。
こうしたことを繰り返す中で、営業担当者自身も、これまで見過ごしていたお客様の変化やニーズに気づくようになり、案件の芽を捉える感度も高まっていくと考えています。
今後は、こうした気づきを継続的に拾い上げ、具体的な提案や行動につなげていくための仕組みをつくっていく予定です。
「やってください」だけでは続かない
今後、この会社では、これまで以上に新しいお客様との接点を増やしていこうとしています。
しかし、新しい相手への訪問は簡単ではありません。
日々の仕事が忙しくなれば、どうしても後回しになりやすくなります。
そこで今回のミーティングでは、誰にアプローチするのかを明確にすること、訪問した際には次につながる行動を決めること、その進捗を定期的に共有し、必要な対策を会議で考えることなどについて話し合いました。
また、営業担当者に「訪問してください」と求めるだけでは十分ではありません。
訪問したときに、何を提案するのか。
お客様との会話を広げるために、どのような材料が必要なのか。
営業担当者が動きやすくなるよう、会社として準備することも必要です。
社員に行動を求めるだけではなく、行動しやすくするために会社として何を準備するのか。
こうしたところまで議論するようになってきたことにも、この会社の変化を感じます。
今回のミーティングでは、いくつかの重要なポイントが明確になり、具体的な取り組みも決まりました。
来月以降、実行に向けた準備を進めていきます。
「まずやってみる」が会社の風土になる
ミーティングの中で、社長がこう話されました。
「どうなるか分からないが、まずやってみる。これがうちの強みだ」
現在の会社の姿をよく表している言葉だと思います。
新しい取り組みですから、最初からうまくいくとは限りません。
まずやってみる。
結果を見る。
うまくいかなければ、やり方を変える。
そこからまた創意工夫する。
こうしたことを繰り返す中で、会社の中に経験と知識が蓄積されていきます。
そして最近では、社長だけではなく、責任者の皆さんからも、新しい案件や会社のこれからについての話が次々と出るようになってきました。
責任者が自分の担当業務だけを見るのではなく、会社全体やその先を考え、自ら提案し、行動する。
社長一人が経営を考えるのではなく、責任者の皆さんも経営に参加する。
そのような会社に、少しずつ変わってきています。
まず試してみること。
そこから創意工夫すること。
そして、そこで得た経験を会社の中で共有し、次の行動につなげていくこと。
こうした積み重ねが、この会社の新しい強みになりつつあります。
