先日、支援先企業の社長と、幹部社員の経営に対する意識をさらに高めるための取り組みについて打ち合わせを行いました。
この会社では、以前、幹部社員を対象に決算書の見方について講義を行っています。
日頃の会議や仕事を通じて、幹部社員の経営に対する意識も高まってきました。
そこで今回は、決算書を理解する段階から一歩進み、幹部社員一人ひとりが会社の将来の財務目標を描き、その実現に向けた具体策を考える取り組みを行うことになりました。
調査会社の評価60点以上を目指す
今回の取り組みでは、企業調査会社による自社の評価を60点以上にすることを、一つの目標としました。
企業調査会社は、企業の収益力や財務内容、資金力など、さまざまな観点から企業を評価しています。
60点以上は容易に達成できる水準ではなく、収益力や財務基盤などが充実した企業に求められる、高い目標です。
まずは、調査会社がどのような点を重視しているのかを幹部社員に説明します。
そのうえで、自社の決算書をもとに現在の評価点を推測し、今後、収益力、自己資本比率、資金力などをどのような水準に高めていく必要があるのかを考えます。
大切なのは、調査会社の評価点を高めることだけではありません。
会社が将来にわたって成長を続けるために、どのような収益力や財務基盤が必要なのかを、幹部社員自身が理解し、その実現に向けて考えることです。
自分たちで将来の決算書をつくる
今回の取り組みは、全2回で行う予定です。
第1回では、調査会社の評価の考え方と、自社が目指す収益力と財務水準について解説します。
そのうえで、幹部社員一人ひとりに、目標とする損益計算書と貸借対照表(バランスシート)を作成してもらいます。
例えば、目標とする利益を確保するには、どれだけの売上高や利益率が必要なのか。
自己資本比率を高めるには、利益をどれだけ蓄積し、資産や負債の構成をどのように変えていく必要があるのか。
また、キャッシュフローを改善し、資金力を高めるには、どのような財務内容を目指す必要があるのか。
こうしたことを、実際に数字を組み立てながら考えてもらいます。
作成方法については私から解説し、一人ひとりが完成できるまでフォローしていきます。
会社の将来を数字で描くことで、日々の仕事と会社全体の経営がどのようにつながっているのかを理解してもらうことが狙いです。
目標を実現するためのストーリーと具体策を考える
第2回では、各自が作成した目標の損益計算書とバランスシートを実現するために、そこに至るまでのストーリーを描き、必要な具体策を考えてもらいます。
例えば、どのような顧客や市場を開拓し、どのような商品やサービスを伸ばすことで、目標とする売上高を実現するのか。
利益率を改善するために、商品構成や業務の進め方をどのように変えていくのか。
事業の成長に伴い、在庫や売掛金、資金繰りをどのように変化させ、財務基盤を強化していくのか。
目標数値を達成した会社が、現在と比べてどのように変わっているのか。その姿にどのようにして至るかを考えることで、取り組むべき方策が具体的になっていきます。
そして、それぞれが描いたストーリーと具体策は、社長と取締役が参加する会議で発表してもらう予定です。
ここで大切にしたいのは、自分の担当業務だけでなく、会社全体の経営という視点から考えることです。
営業、仕入、在庫、経費、資金など、会社のさまざまな活動は互いにつながっています。
自分の担当部門で取り組めることもあれば、部門を越えた協力が必要になることもあります。
幹部社員がそれぞれの立場から会社の将来像とそこに至るストーリーを描き、社長や取締役を交えて議論することで、会社全体として取り組むべき課題や、新たな改善策が見えてくることを期待しています。
幹部社員の知恵を結集する
今回の取り組みには、もう一つ大切な目的があります。
それは、幹部社員同士が互いの考え方を知り、学び合うことです。
同じ会社の決算書を見ても、それぞれの経験や担当業務によって、着目する点や考える具体策は異なります。
ある幹部社員の提案が、別の幹部社員にとって新たな気づきになることもあります。
また、互いの考えを組み合わせることで、一人では思いつかなかった改善策や新しい取り組みにつながる可能性もあります。
一人ひとりが持っている経験や知識を共有し、対話を通じて新しい考えや具体策を生み出していく。
こうした場をつくることが、会社全体の力を高めていくことにつながります。
幹部社員が経営者の視点を持つ会社へ
会社が成長を続け、新しい商品やサービス、新しい事業などを生み出していくためには、幹部社員の力が欠かせません。
幹部社員が自分の担当部門だけでなく、会社全体の収益や財務内容、将来の成長について考える。
そして、自ら課題を見つけ、具体策を提案し、実行していく。
そのためには、経営に関する知識を身につけるだけでなく、実際に考え、議論し、行動する機会をつくることが大切です。
幹部社員一人ひとりが経営者の視点を持ち、互いの知恵や経験を生かしながら、会社の将来をつくっていく。
今回の取り組みを通じて、数字から経営を捉える力を高めるとともに、幹部社員が主体的に経営に参加する会社へ、さらに一歩進めていきたいと考えています。
