先日、支援先の経営計画発表会に出席しました。
今期の売上高目標は、前期比17%増。
私が支援を開始した3年半前と比べると、62%増となる水準です。
決して低い目標ではありません。
しかし、今回の発表会で印象的だったのは、単に「売上を増やそう」という話ではなかったことです。
なぜ売上を増やすのか。
会社はその先に何を目指しているのか。
社長は、そのことを社員の皆さんに丁寧に説明されていました。
なぜ売上を増やすのか
発表会では、まず社長から経営理念について話があり、そのうえで、今期の経営目標と会社が目指す方向について説明がありました。
その中の一つが、粗利益と社員への還元についてです。
粗利益を増やし、その成果を社員へ還元していく。その目標となる割合も具体的に示されました。
「粗利益が増えていけば、皆さんへの還元も大きくなる。」
「そして今期からは、毎月、会社の粗利益がどれだけ増えたのか、あるいは減ったのかを全社員が確認できるようにします。」
自分たちの仕事が会社の数字にどうつながっているのか。
その結果が、自分たちへの還元にどうつながっていくのか。
社員の皆さんにも会社の経営を知ってもらおうという取り組みです。
一方で、会社が将来に向けて成長していくためには、利益を蓄積していくことも必要です。
会社は3年後の工場拡張を見据えています。
そのために必要な財務基盤をつくっていくことも社員の皆さんに説明し、自己資本比率についても具体的な目標が示されました。
社員への還元と、将来に向けた会社への蓄積。
売上や粗利益を増やすことが目的なのではなく、その先に何があるのか。
そこまで社員の皆さんに伝えられていたことが、今回の発表会で特に印象に残りました。
3年後に向けて、何を伸ばしていくのか
さらに社長からは、3年後の工場拡張に向けて、今後どの分野で、どれだけ売上を増やしていくのかという具体的な方針が示されました。
目標を達成するためには、営業だけ、生産だけが頑張ればよいわけではありません。
これまで以上に部門間の連携が必要になります。
そのうえで、社員の評価についても話がありました。
評価するのは、結果だけではありません。
経営方針をどれだけ実行したか。業務改善に積極的に取り組んだか。他部門との連携を図ったか。お客様への対応にしっかりと努めたか。部下の指導や育成に力を注いだか。
会社が目指す方向に向けて、どのように行動したのかを積極的に評価していくことが伝えられました。
社長は、自分の言葉で、一言一言、社員の皆さんに語りかけていました。
ゆっくりと、しかし力強く。
話を聞きながら、うなずく社員の姿も多く見られました。
各部門の責任者から、具体的な取り組みを発表
社長の発表に続いて、営業、生産など各部門の責任者から、今期取り組む具体的なテーマについて発表がありました。
どの発表からも、それぞれの責任者が事前にしっかりと考え、準備してきたことが伝わってきます。
責任者それぞれに、自分の部門をこれからどうしていきたいのかという思いがありました。
そして、発表を聞いていて特に印象に残ったことがあります。
それぞれの取り組みについて、責任者から共通して出てきたのが、「他部門の責任者と連携して取り組んでいく」という言葉でした。
営業だけで考える。生産だけで考える。
そうではなく、自分たちが取り組むテーマを実現するためには、他の部門との連携が必要だと、それぞれの責任者が自分の言葉で話していました。
社長からも、今後の成長には部門間のより一層の連携が必要だという話がありました。
その考えが責任者の発表にも表れていたことを、私はとても心強く感じました。
会社の方針を聞いて終わるのではなく、それを各部門の具体的な取り組みに落とし込み、さらに部門を越えて実行していく。
経営計画を実行していくうえで、とても大切な動きだと思います。
そして最後に、専務から社員の皆さんにこんな話がありました。
「無理に頑張らなくてもいい。今日発表した内容に少しずつ取り組んでいけば、改善していきますから」
この言葉も、とても印象に残りました。
大きな目標を掲げながらも、一足飛びに変えようとするのではなく、一つひとつ実行し、改善を積み重ねていく。
この会社らしい言葉だったように思います。
発表して終わりにしない
発表会終了後、社長と専務と話をしました。
社長ご自身も、今回の発表会にはかなり手応えを感じておられる様子でした。
専務からも、
「いい発表会でしたね。これからやることが明確になりましたね!」
という言葉がありました。
私からも、非常に良い発表会だったことをお伝えしました。
私自身、これまでの会社の歩みを思い返しながら聞いていると、目頭が熱くなる場面がありました。
同時に、大切なのはここからです。
責任者の皆さんが社員に向けて発表した内容について、テーマによってはさらに具体化していく。
そして、今後の全体会議で進捗を確認し、うまくいっていること、難しいことを共有しながら、必要な対策を考えていく。
経営計画は、発表することが目的ではありません。
社員と共有した計画を実行し、その結果を確認し、また次の行動を考える。
その繰り返しによって、会社の中に少しずつ変化が生まれていきます。
また、前期の決算書が出来上がれば、社長と一緒に取引金融機関を訪問する予定です。
前期の決算内容だけではなく、今回策定した経営計画について、会社がこれから何を目指し、そのために何に取り組んでいくのかを社長から説明していただきます。
経営計画を社員と共有し、各部門が実行する。そして、その方針を金融機関にも伝えていく。
この会社は、収益を改善し、経営の基盤を整える段階から、さらにその先へ進もうとしています。
社員一人ひとりが会社の数字を知り、会社が目指す方向を共有し、それぞれの立場から経営方針の実現に参加していく。
今回の経営計画発表会に出席し、会社が次の成長段階に入ったことを実感しました。
