ご覧いただきありがとうございます。これから数回にわけて社長が見るべき決算書の要点を事例をまじえながら解説していきたいと思います。初回の今回は、決算書の理解の重要性についてお話したいと思います。
社長の重要な役割の一つは業績を上げることです。私などが改めて言うまでもないことですが、業績を上げる役割の社長が、業績を表す決算書の理解が不十分ではよろしくありません。
冒頭から偉そうに言って申し訳ないですが、会社決算は銀行、債権者、調査機関等から継続的に評価されています。決算を良くしなければ、会社の維持、従業員の採用が難しくなります。ですから、会社決算を良くするために決算に強くなって頂きたいと思うのです。
社長の決算に向き合う姿勢と業績は相関関係にあります。
こちらが依頼もしていないのに、社長自ら決算書を持参してその内容を説明しに来られる会社は例外なく業績が良いですね。こういった社長は私に見解(意見)を積極的に求めてきます。当社の決算書のどこに問題があるのか。どこを直したら良いのかと。
また、社長就任時は決算について全く詳しくなかったのに、その後、同業の優良企業と自社の決算の差異を研究し、私にどうしたら改善できるかと聞いてこられたA社長。先般お会いした際、来期の借入比率はどうなりますかとお聞きしたところ、即答で○○%ですと回答されていました。社長就任時は自己資本比率をご存知でなかった社長がです。この会社の業績は言うまでもなく大幅に改善されています。
逆に、決算について質問しても、経理に一つ一つ確認しなければ答えられない社長は私の経験においては業績が芳しくありませんね・・。
これまで多くの社長にお会いしてきた中で、決算に本当にお強い社長は少数というのが率直な感想です。損益計算書は分かるが貸借対照表(B/S)は今一つという方が多いです。
大企業では、管理職になる際の昇格試験に決算書の理解も入っており、決算を学ぶ講座も用意され、役員は概ね決算について高い知識を有しています。
一方、中小企業の社長に就任される方は、決算について学ぶ機会はほとんどない方が多いのではないでしょうか。その反面、職責上は決算についての知識を求められ、独学で学ばざるを得ない方が大半と思います。社内においても経営的視点で決算書を説明してくれる人は極めて少ないのが現状ではないでしょうか。
日常業務の中で決算書を学ぶなど、なかなか出来るものではありません。むしろ出来る人の方が現実には例外的なのだと思います。決算に強くなる必要性は高いのに、置かれている環境はそうではない。このギャップを何とかしないといけない、1社でも多くサポートしていきたいと思います。
最近よく中小企業の労働生産性の向上と賃上げが課題として挙げられます。
そもそも、どのようにすれば労働生産性を向上することができるのか。決算に関する知識が十分でないと誤った取り組みを行うことにもなりかねません。効率をあげるため設備投資を行った結果、生産性の低下、財務内容の悪化を招くこともあり得ます。
会社決算を良くするためには、決算書の理解が重要です。経理ではありませんから、社長は要点さえ押さえれば十分です。次回以降、決算に関する要点を事例を交えながら説明していきたいと思います。
多少でもお役に立ちましたら幸いです。