顧問先企業の社長からのご紹介でご相談をいただきました。
当時は収益状態が悪く、在庫負担も大きいうえ、資金繰りも厳しい状況にあり、金融機関には返済猶予(リスケジュール)をお願いしている状態でした。
社長には「このような会社にしたい」という明確な理念がありましたが、独立開業後は思うように業績が伸びず、会社の将来に大きな不安を抱えておられました。
そこでまず、社長とともに経営計画を作成。会社の現状や課題を整理し、今後の方向性と目標を明確にしていきました。
完成した経営計画は決算書とともに金融機関へ提出し、社長自身の言葉で会社の現状と将来の方針を説明していただきました。
その後、業績は少しずつ改善へ向かいます。
しかし、大口取引先から、自社に直接的な責任ではないクレームが発生したことをきっかけに受注が大幅に減少。会社は再び厳しい局面を迎えることになりました。
新規事業も計画していましたが、設備投資を進めることができず、経営は極めて厳しい状況となります。
そのような中、受注構造そのものを見直す大きな方針転換を行いました。
詳細はお伝えできませんが、社長はその方針を信じ、現場の最前線で粘り強く実行を続けました。その結果、受注は大きく回復。増加する仕事に対応するため、パート社員を大幅に増員するまでになりました。
収益も大きく改善し、顧問税理士からは、
「収益がすごいことになっています。何があったのですか。」
と驚きの連絡が入るほどの変化が生まれました。
こうした変化を受け、金融機関からは、返済猶予からの出口戦略として、
「現在の収益状況であれば、経営改善計画をご提出いただければ、長期的な視点に立った返済負担の軽減策などについて前向きに検討したい。」
との話もいただくようになりました。
社長は現在、お仲間の経営者との会話の中で、
「事業構造を変えたことが、本当に良かった。」
と話されています。
ここからが、この会社にとって次の課題です。
事業構造の転換によって受注が増加した既存のお客様との取引は、今後の経営を支える重要な基盤です。こうしたお客様との関係を大切にし、取引の維持・強化を図っていきます。
さらに、伸びしろのある得意先を絞り込み、仕入先と共同で重点商品の提案活動を進めるとともに、新規顧客の獲得についても仕入先と連携して取り組んでいます。すでに徐々に成果も現れ始めています。
これまでは、社長自らが工場へ入る時間が多く、お客様への訪問や将来に向けた活動に十分な時間を確保することができませんでした。
しかし、収益改善と社員の増員により、社長が工場を離れ、お客様への訪問や将来に向けた活動へ時間を振り向けられる環境が整いつつあります。
将来的には、社長自らがお客様を訪問するトップ営業の機会を増やし、営業活動をさらに強化していく予定です。
そして、社長が描くビジョンの実現や新規事業への展開にも取り組んでいきます。
収益改善はゴールではありません。
収益改善によって時間と経営資源を生み出し、その時間をお客様との対話や新たな挑戦に振り向けることで、会社は次の成長段階へ進んでいきます。現在、この会社はまさにその段階に入ろうとしています。