ご覧いただきありがとうございます。これから数回にわけて、社長が見るべき決算書の要点を事例をまじえながら解説していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
第二回目の今回は、会社決算を良くする視点について説明したいと思います。
さて、会社決算を良くするには、売上高と利益を上げればいいと思われるかもしれませんが、これだけでは正確ではありません。損益計算書だけを良くしても決算内容は中々良くならない、逆に悪化することがあるからです。
決算書は貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)メインに構成されています。したがって、決算内容を良くするにはB/S、P/L両方に関心を持つ必要があります。
貸借対照表に苦手意識のある方が多いと思いますので、まずB/Sの基礎的なところを解説したいと思います。
貸借対照表は会社が持つ資産を勘定科目(現金、売掛金など)ごとにその金額を表示しています。例えば、現金1,000,000円、商品50,000,000円などです。また、貸借対照表の便利なところは資産をどのような方法で調達したかを表示している点です。
つまり、負債(銀行借入など)で調達したのか、自己資本(個人の場合の貯金に近い)で調達したのか、それぞれどの程度の割合で調達したのかが分かるのです。同じ資産を保有していても、すべて借入金(負債)で調達した会社より、借入金の小さい会社の方が経営は安定していると言えますよね。自己資本で調達した割合の大きい会社の方が経営は安定していると言えるわけです。
それでは具体的に自社の決算書を確認頂きながら、展開していきたいと思います。
自社の決算書の貸借対照表をご覧頂きますと、向かって左側に保有する資産が表示されています。現金、預金、売掛金、商品、機械設備などです。右側にはその資産を何で調達したのかが記載されています。大きな区分で申し上げると2つあります。一つは負債、もう一つは純資産(自己資本)です。
貸借対照表の一番下には資産合計と負債・純資産の合計金額が表示されています。
左側の資産合計と右側の負債・純資産の合計金額は一致します。資産をどのような調達方法(負債と自己資本のことです)で購入したのか表しているのですから一致して当然ですよね。左側が資産、右側がその調達方法です。
ちなみに自己資本は、資産から負債を引くことで計算できます。
計算式は 自己資本(純資産)=資産合計-負債合計 です。
資産が負債を大きく上回っていたら経営は安定、逆に負債が資産を上回る状態は、債務が資産を超過しているので「債務超過」と言います。この状態の会社は事業継続が極めて難しく、銀行・債権者等の評価も相当厳しいものになります。手元にある資産すべてを換金しても、負債を返済できないからです。
先ほど、資産が負債を大きく上回っていたら経営は安定するとご説明しましたが、これを測る指標があります。
自己資本比率といいます。自己資本比率は以下の計算式で算出できます。
自己資本比率=純資産(自己資本)÷資産合計×100(%)
自己資本比率が10%未満ですと経営は不安定です。これは裏返せば、負債で調達した割合が90%を超えていることを意味するからです。私はコンサルティングにおいて、30%以上(少なくとも20%以上)の自己資本比率を目指すことをお願いしています。
一度、自社の自己資本比率がいくらなのかを計算してみて下さい。直近3~5年の間にどのように変化しているかを確認頂くとよりいっそう良いです。
自己資本比率は会社の安定度を表します。企業運営の維持継続において重要な指標と言えるでしょう。この指標を改善する方法はその計算式に表れています。それは自己資本を増やす、もう一つが総資産の効率化です。
次回以降、この自己資本比率の改善の切り口について解説したいと思います。