支援前の状況
食品パッケージを印刷する中小メーカーです。
前社長の急逝により、営業出身の現社長が社長に就任。
その後、コロナ禍の影響もあり収益力が低下。3期連続の赤字が続いていました。
借入を増やした結果、手元資金は潤沢になったものの、
「どうすれば収益が改善するのか」、「どこに手を打てばよいのか」が見えない状況でした。
そのような中、顧問先企業からの紹介でご相談をいただきました。
第1段階 現状を知る仕組みをつくる
まず社長に提案したのは、5カ年の経営計画を一緒に作成することでした。
数字を作ることが目的ではありません。会社の課題を整理し、どこへ向かうのかを明確にすることが目的です。
社長には将来の数字だけでなく、会社の課題や取り組み内容についても言語化していただきました。
完成した経営計画は全社員の前で発表。
さらに私は取引銀行への訪問にも同行し、社長自身の言葉で経営計画と決算内容を説明していただきました。
また、社長とともに全社員との個別面談を実施。その結果、部署間の壁が高いこと、営業力に課題があることが見えてきました。
一方で、会社を支える優秀な人材が存在することも確認できました。
さらに営業活動をABC分析や訪問回数で見える化したところ、
成果につながりにくい得意先への訪問が多いこと、営業担当者が生産調整や納期対応などの内勤業務に追われ、本来行うべき営業活動に十分な時間を使えていないことが明らかになりました。
第2段階 収益改善と会社が前に進む土台をつくる
第1段階で見えてきた課題をもとに、営業活動へ集中できる体制づくりに着手しました。
経営計画策定後は、社長との定期面談に加え、営業会議にも参加しながら進捗を確認しました。
営業担当者が外回りの営業活動に専念できるよう、受注調整や生産調整などの業務の多くを業務部が引き受ける分業体制へと組織を再編しました。
また、部門別PDCAの導入、部門横断のコスト削減活動、工場採算の見える化なども進めました。
こうした取り組みにより、収益力は着実に改善。黒字化を達成し、その後も黒字を継続しています。
また、決算賞与の支給や社員の賃上げも実現することができました。
第3段階 顧客の視点で見る仕組みをつくる
収益改善が進み、次に取り組むべき課題として見えてきたのが、顧客理解の深化でした。
営業活動において、顧客は何を求めているのか。顧客は何に困っているのか。優れた営業担当者はどのような行動を取っているのか。これらを組織の知識として共有する必要があります。
そこで現在、営業部全員で営業活動の棚卸しを行い、クロージングに至るまでの行動や工夫を整理する仕組みづくりを進めています。
今後は営業担当者一人ひとりが自ら目標を設定し、継続的に改善へ取り組む仕組みとして運用する予定です。
また、重要顧客ごとの戦術計画を作成し、社長や営業トップへ定期的に報告する仕組みや、ロールプレイングによる提案力向上にも取り組む予定です。
第4段階 気づきを形にする仕組みをつくる
営業活動を通じて得られた顧客の声や成功事例を共有し、新たな提案へつなげる仕組みづくりも計画しています。
営業担当者が持ち帰った顧客の声や課題を共有し、「自分ならどう提案するか」、「どのようなサービスが考えられるか」を議論する「場」を定期的に設定する予定です。
現在は、食品の鮮度保持に関するサービス展開や特定食品群のシェア拡大に向け、この仕組みづくりを進めています。
第5段階 価値創造が継続する仕組みをつくる
現在は、業績評価制度、等級制度、賃金制度の導入準備を進めています。
この制度では、売上や利益などの結果だけではなく、顧客訪問、情報共有、改善提案、部門間協力といった行動も重要な評価対象とします。
また、労働時間短縮に向けて、時間ではなく価値で評価する組織づくりの準備を進めています。
今後の課題
この会社は現在、第2段階を終え、第3段階と第4段階へ進もうとしている段階にあります。
営業担当者一人ひとりが顧客の課題やニーズを深く理解し、それを提案活動へ結び付ける力を高めること。
また、成功事例や失敗事例を組織全体で共有しながら顧客理解と提案力を継続的に高めること。これらが今後の重要なテーマです。
この取り組みが定着したとき、経営計画で掲げた売上目標の実現に大きく近づくものと考えています。
会社が成長する循環は、次の段階へ進もうとしています。