取り組みを次の挑戦につなげる
・新たな商品・サービスを開発できた。
・新規顧客の開拓につながった。
・新規事業を創出できた。
・業務改善が進んだ。
こうした成果は、会社にとって大切なものです。
こうした取り組みを一度きりで終わらせず、そこで得た経験や気づきを次の取り組みに生かしていきます。
試行錯誤を重ねながら、お客様にとって新たな価値を生み出し続ける仕組みをつくることが、第5段階の役割です。
案件の芽を継続して捉える仕組みをつくる
日々のお客様とのやり取りの中には、新しい案件につながるさまざまな兆しがあります。
これまでになかった予期せぬ問い合わせ、いつもと違う相談、注文や用途の変化、お客様の困りごとなども、その一つです。
こうした小さな変化や気づきを見過ごさず、個人の中だけにとどめることなく、会社として継続的に捉える仕組みをつくります。
そのために、変化や気になったことがあれば記録し、営業会議や企画会議、全体会議などで定期的に発表することを、日々の仕事の中に組み込んでいきます。
一人では、その出来事が何を意味するのか分からないこともあります。
しかし、皆で持ち寄って考えることで、
・他のお客様でも同じような兆候は出ていないか
・なぜ、このような問い合わせや変化が起きているのか
・その背景に、お客様自身もまだ明確にしていない困りごとはないか
・さらに何を確認すればよいか
といったことを考えることができます。
そして、さらに確認すべきことがあれば、誰が、何を確かめるのかを決めて行動します。その結果を次の場へ持ち帰り、また皆で考えます。
気づきを残す → 定期的に発表する → 皆で考える → 次に確認することを決める → 行動する → 結果を持ち帰る。
こうした取り組みを繰り返すことで、個人では見過ごしていた小さな変化から潜在的なニーズを見つけ、案件の芽として捉えていきます。

生まれた案件を育てる
お客様の変化や困りごとを捉え、考え、行動する中から、新たな商品・サービス、新分野、新規事業などにつながる可能性が見えてくることがあります。
その中から、会社として取り組む案件を見極めます。
取り組むことを決めた案件については、担当者や責任者を明確にし、お客様への確認、調査、試作、提案、社内外との連携などを進めていきます。
このとき大切なのは、社内だけで検討を重ねるのではなく、できるだけ早く試作品や具体的な提案をお客様に示し、反応を確かめることです。
お客様から意見を聞き、修正して再び試す。さらに反応を確認し、また改善する。
こうしたお客様とのやり取りを素早く繰り返すことで、お客様が本当に求めているものに近づけていきます。
また、案件の進捗や新たに分かったことを定期的に共有します。
・何をやったのか
・そこから何が分かったのか
・当初の仮説と違っていたことは何か
・新たにどのような課題が見えてきたのか
・次に何をするのか
こうしたことを皆で確認しながら次の行動を決め、再び実行します。
早く試し、お客様とのやり取りを重ねながら、案件を形にしていきます。
新しい価値を生み出す時間をつくる
新しい商品・サービス、新規事業、業務改善など、新しい価値を生み出していくためには、お客様について考える時間、現場を見る時間、調べる時間、社内外の人と話す時間、実際に試してみる時間が必要です。
日々の仕事を進めながら、こうした時間を意図的につくっていくことが大切です。
そのためには、既存の仕事についても見直します。
・やめることはないか
・減らしたり、簡素化したりできないか
・外部に任せたり、アウトソーシングしたりできないか
・仕組みを変えることで効率化できないか
そして、そこで生まれた時間を、お客様を理解する活動や、新しい案件を考え、試してみる活動へ振り向けていきます。
現在の仕事を見直し、未来のために使う時間を意図的につくります。
経験と知識を次の価値創造につなげる
変化や気になったことを記録し、定期的な場で発表する仕組みを続けることで、社員は日々のお客様とのやり取りの中でも、これまで以上に変化や困りごとを意識して見るようになります。
そして、実際に行動して分かったことを持ち帰り、皆で振り返ります。
その中で、自分自身の経験だけでなく、他の社員が持つ経験や知識、さまざまな情報が結びつき、新たな気づきや考え方が生まれていきます。
さらに、案件の芽を見つけた後も、お客様に確認し、試作品や具体的な提案を示し、その反応をもとに修正して再び試す。こうしたやり取りを重ねることで、お客様への理解が深まり、新たな経験や知識が生まれます。
案件の芽を見つける過程だけでなく、案件を育てる過程でも、お客様との試行錯誤を通じて経験と知識はさらに増えていきます。
そして、蓄積された経験や知識を持って再びお客様や市場を見ることで、これまで見過ごしていた小さな変化や、新たな可能性にも気づけるようになります。
その気づきが次の行動につながり、そこからまた新しい経験や知識が生まれます。
仕組みによって行動が変わり、実践によって経験が増える。経験や知識を皆で共有し、案件を育てる中でさらに知識が増える。その知識が、お客様を見る力・気づく力を高め、次の価値創造へとつながっていきます。

行動を評価する
私は業績評価制度を重視しています。
売上や利益などの結果とともに、その成果につながる行動も評価していきます。
・お客様を理解しようとすること
・現場で気づきを得ようとすること
・新しい提案や改善に挑戦すること
・仲間と情報や経験を共有すること
こうした行動を評価することで、社員は会社の方針を踏まえながら、自ら考え、小さく試し、改善を重ねながら挑戦しやすくなります。
価値創造は「やらされる活動」ではなく、社員一人ひとりが主体的に取り組む活動へと変わっていきます。
こうした積み重ねによって、価値創造が会社の中に定着していきます。
評価を処遇につなげる
業績評価制度は、評価することだけが目的ではありません。
会社の方針に沿って、何に取り組み、どのような成果や行動が評価されるのかを明確にし、その評価を賃金にも反映していくことが大切です。
私は、業績評価制度だけでなく、等級制度や賃金制度、退職金制度まで一貫して整える支援も行っています。
社員がどのような役割を担い、何をどれだけ頑張れば評価されるのか。その評価が昇給や賞与などの賃金に反映され、長く会社に貢献することが退職金にもつながっていく。
会社が求める行動と、社員の評価、賃金、退職金をつなげることで、会社の方針と社員一人ひとりの仕事が結びつく制度をつくっていきます。

成功体験と試行錯誤を共有する
会社の中には、多くの成功体験や改善事例があります。
こうした事例を共有することで、一人ひとりの経験を組織全体の財産にしていきます。
私は、成功事例や改善事例を共有する場を持つことを提案しています。
誰がどのような行動を取り、どのような成果につながったのか。その過程で、どのような工夫や試行錯誤があったのか。
こうした経験を共有することで、他の社員もそこから学び、自分たちの仕事に活かすことができます。
また、社内で「成功事例発表会」を開き、それぞれの取り組みを発表することも有効です。
・お客様のためにどのような工夫を行ったのか
・どのような行動が成果につながったのか
・どのような失敗や試行錯誤があったのか
・そこから何を学んだのか
成果だけでなく、そこに至るまでの挑戦や試行錯誤も共有し、互いに認め合い、称賛することで、次の改善や挑戦につながっていきます。
価値創造が当たり前の文化を育てる
制度は大切です。しかし、制度だけでは会社は変わりません。
- お客様の現場を見る
- 変化や案件の芽に気づく
- 自ら考え、企画する
- 皆で考える
- 小さく、早く試してみる
- お客様の反応を確かめる
- 結果を振り返り、経験や知識を共有する
- また次の挑戦につなげる
こうした行動が繰り返され、評価され、認められ、称賛されることで、社員は安心して挑戦できるようになります。
そして、こうした行動が日々の仕事として根付いていくことで、価値創造は「特別な活動」から「当たり前の活動」へと変わっていきます。
社員一人ひとりがお客様や会社の未来について考え、自ら企画し、行動する。こうした実践を積み重ねる中で社員の経営への参加が進み、会社は新しい価値を生み出し続ける力を高めていきます。
第5段階の主な取り組み
- 営業会議・企画会議・全体会議などの運営
- 変化や気づきを記録し、定期的に発表する仕組みづくり
- 新しい案件の企画・進捗を確認する場づくり
- 既存業務の見直しと、新しい取り組みに充てる時間の確保
- 業績評価制度
- 等級制度
- 賃金制度
- 退職金制度
- 人材育成
- 成功事例・改善事例の共有
- 成功事例発表会
次の成長サイクルへ
会社の成長に終わりはありません。
価値創造が会社の日々の仕事として定着すると、新たな成功体験や気づきとともに、経験や知識も蓄積されていきます。
その経験や知識を持って再びお客様や市場を見ることで、これまで気づかなかった変化や課題、新しい可能性が見えてきます。
そして、会社を取り巻く環境や自社の現在地を改めて見渡し、次にどこを目指すのかを考える。そこから、また新しい成長の循環が始まります。
この循環を繰り返しながら、会社は活動の領域を広げ、新しい価値を生み出す力そのものを高めながら、次の成長段階へ進んでいきます。